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2023年7月29日土曜日

切手に見るナイチンゲール物語-3.フローレンス・ナイチンゲール記章-

フローレンス・ナイチンゲール記章は1907年の第8回、1912年の第9回赤十字国際会議の決議に基づいて制定され「フローレンス・ナイチンゲール基金」によって創設された表彰記章で、医療看護の分野で国際的な功績著しい看護師に授与されます。


フローレンス・ナイチンゲールの生誕100周年を記念して1920年に第1回の記章の授与が行われています。


創設当初は女性のみを対象としていましたが、第34回以降の授与では男性も受章対象者に含まれ、今日に至っています。


記章は銀メッキされた金属製のアーモンド型メダルで、表面は燭を手にしたナイチンゲール像と「1820~1910年フローレンス・ナイチンゲール女史記念」の文字があり、裏面には受章者名と、ラテン語で「博愛の功徳を顕揚し、これを永遠に世界に伝える」との文字と共に、受章者名と受章日が記章の中央に刻まれています。


世界各国の赤十字社が同社の委嘱した選考委員会に諮問し、赤十字国際委員会に候補者を推薦し、赤十字国際委員会は各国から集まった候補者について慎重な審議選考を行った上、隔年ごとに最大50名の者に授与します。


授与式は"国の元首または赤十字総裁が記章の崇高な名誉にふさわしい厳粛な式を行って授与する"と規定されており、日本においては、日本赤十字社名誉総裁である皇后陛下より授与されます。


2023年5月現在受章者総数は1,580名になり、日本人の受章者総数は115名となりました。


切手は2012年中国発行の「国際看護の日100年記念切手」で、看護師の横顔とともにフローレンス・ナイチンゲール記章が描かれています。




切手は、1989年ハンガリー発行の「切手の日'89著名看護師切手」の一種で、ナイチンゲールの肖像と共にナイチンゲール紀章が描かれています。





ナイチンゲ-ル記章の写真




日本赤十字社の資料写真よりお借りしました、お礼申し上げます。


2023年7月28日金曜日

切手に見る赤十字-7.レッドクリスタル-

現在世界各国で使用されている赤十字のマークは、「赤十字」、「赤新月」がありますが、イスラエルが独自に使用している「ダビデの赤盾」は正式には、赤十字マークとしては認められていません。


いわゆる赤十字マークは、中世の十字軍を連想させるものとしてイスラム教の国々を中心に忌み嫌われ、使用されることなくかわりに赤新月マークが用いられています。


さらにキリスト教でもイスラム教でもない国はその両方ともを否定せざるを得ず、紆余曲折の末に、「レッドクリスタル(Red Crystal:赤水晶、赤菱形、赤菱)」が第3のマークとして定められました。


2005年12月8日の国際赤十字締約国会議で決定し、2007年1月14日にジュネーブ条約の第3追加議定書が発効して正式に追加されました。


レッドクリスタルを描いた第一号切手としては、以下に紹介する2007年にクロアチアから発行された「国際赤十字デー切手」です。

切手には、赤十字、赤新月、レッドクリスタルの各マークの国際承認年が記載されています。




ちなみにクロアチアは、ローマ・カトリック教国でイスラム教国ではありません。

切手に見るヘラクレス物語-7.12の試練その6.ステュムパリデス沼地の怪鳥の退治-

ペロポネーソス半島のステュムパーロス湖畔の森に棲んでいたとされ、翼の先が青銅で出来ていて、集団で生活し人間を襲ったり、田畑に毒性の排泄物を撒き散らしたりしていいました。


アテナと炎と鍛冶の神ヘパイストスは、ヘラクレスのために巨大な青銅製の鳴子を鍛造し、ヘラクレスを助けます。


アテナとヘパイストスから与えられた鳴子を鳴らすとその鳴音に驚いた鳥達は一斉に飛び立ち、ヘラクレスは鳥達をヒュドーの毒矢で次々と射落としたと言われています。


その後、少数だが生き残った鳥はギリシアには二度ともどってくることことはなかったと伝えられています。


切手は1970年ギリシャ発行の「ヘラクレスの試練切手」の中の一枚で、ステュムパリデス沼地の怪鳥の退治光景が描かれています。




切手は1982年モナコ発行の「赤十字切手-ヘラクレスの試練-」の中の一枚で、ステュムパリデス沼地の怪鳥の退治が描かれています。




2023年7月27日木曜日

切手に見る原理・法則・定理-9.特殊相対性理論-

1905年にドイツ生まれの理論物理学者アルベルト・アインシュタイン(1879~1955)が提唱し、重力の影響を考えない特殊な環境下において、「時間の進み方や空間の大きさは『絶対的』なものではなく、観測者の置かれた状況によって変わる『相対的』なものである」とする物理理論です。


特殊相対性理論は、アインシュタインが若干26歳のときに提唱しています。


1915年に同じくアインシュタインにより提唱された一般相対性理論と区別するために「特殊」を付けて呼びますが、一般的に「相対性理論」といえば特殊相対性理論を意味します。


特殊相対性理論と一般相対性理論の違いは、特殊相対性理論は「静止している観測者から見ると、光速で移動している物体の時間は止まっている」という光速不変の原理を提唱し、一般相対性理論は「重力は空間と時間を歪める」という重力の相対性を提唱しています。


切手は2005年ドイツ発行の「特殊相対性理論発表100周年記念切手」で、アインシュタインの肖像とともに特殊相対性理論の方程式が描かれています。




1987年ウガンダ発行の「」アインシュタインの肖像とともに宇宙空間と特殊相対性理論の方程式が描かれています。




切手は1979年メキシコ発行の「アインシュタイン生誕100周年記念切手」で、アインシュタインの肖像とともに特殊相対性理論の方程式が描かれています。



切手は1956年イスラエル発行の「著名人切手」で、アインシュタインの肖像とともに特殊相対性理論の方程式が描かれています。




切手は2005年スイス発行の「アインシュタイン・相対性理論100年記念切手」で、研究中のアインシュタインの肖像とともに特殊相対性理論の方程式が描かれています。




E=mc2乗:アインシュタインが特殊相対性理論からみちびいた,世界で一番有名な式で,「ほんのわずかな物質にも,膨大なエネルギーが秘められている」ことを意味し、E=mc2乗 によると,物質からエネルギーを引きだせ,また逆に,エネルギーから物質を生みだすこともできるといいます※※




一番切手-4.インデアンを描いた世界最初の切手-

切手に初めてインディアンが登場したのは、1893年です。


※インディアンとは、アメリカ州の先住民族のうち、エスキモー・アレウトを除く諸民族の総称※


この年コロンブスアメリカ大陸発見400年記念博覧会切手に描かれていますが、添え物的に描かれたものです。


切手は1893年米国最初の記念切手「コロンブスアメリカ大陸発見400年記念博覧会切手」の中の一枚に、陸地を見たコロンブスが中央に描かれ、左右にインディアンの男女が描かれています。



切手にインディアンがメインに描かれるには、1923年まで待たなければなりませんでした。


切手は1923年米国発行の「普通切手」の中の一枚で、インディアンの酋長が描かれています。 




2023年7月26日水曜日

切手に描かれたモンスター-1.狼男-

モンスターとは、一般的には自然界には存在しない想像上の恐ろしい生物を指します。


また、人間の形を持ちながらも、その行動や性格が非人間的で恐ろしい存在を指す場合もあります。


モンスターは、ホラー、ファンタジー、サイエンスフィクション、民間伝承、神話、宗教など、様々なジャンルの作品に登場し、その姿はドラゴン、ゴブリン、スケルトン、ゾンビ、吸血鬼、狼男、フランケンシュタインなど様々です。モンスターは、人間の恐怖心や好奇心を刺激する存在として、多くの人々に愛されています。


モンスターの起源は、古代にまで遡り古代ギリシャ神話には、ミノタウロスやキメラなどのモンスターが登場します。


これらのモンスターは、当時の人々の想像力によって生み出されたものです。


今回から数回にわたり切手に描かれたモンスターたちを紹介していきますのでお付き合いください。


第一回目は狼男についてです。


狼男は、伝説の生物の一種で人が半狼半人の姿に変身したり、狼に憑依されるなどした人間の男性のことです。


ギリシャの歴史家ヘロドトス(紀元490~紀元前前430)の著書『歴史』の中に1年に一度狼になるという人の記述があります。


またはローマ帝国末期に人が獣化する現象が初めて「症候群」として紹介されています。

普通の人が満月の光によりに狼に変身し、人や家畜の血液や肉を求めてさまよい歩くが、夜明けとともに人間に戻るとされています。


1995年に、人狼症候群と名づけられた極度の多毛症を引き起こす突然変異遺伝子が確認されましたが、発症例は極めて稀で中世以降、記録された例は50例に満たないとされています。


また狼男は銀の弾丸で死亡すると言われています。


これは銀の持つ強い殺菌作用によることに由来していると言われています。


切手は1997年米国発行の「クラシック映画のモンスター切手」の中の一枚で、狼男が描かれています。




切手は2009年スロベニア発行の「スロベニアの神話切手」で、狼男が描かれています。





切手は2014年マーシャル諸島発行の「映画の中のモンスター切手」の中の一枚で、満月の夜に変身する狼男が描かれています。






切手に見るナイチンゲール物語-2.ナイチンゲールと永遠に続く火-

フローレンス・ナイチンゲール(1820~1910)の名前を知らない人はまずいないと思います。


ナイチンゲールに関しては当ブログでも紹介しています。


今回はナイチンゲールに関しての"永遠に続く火"について解説してみます。


ナイチンゲールは、クリミア戦争の際に毎晩ランプを灯して負傷者を具合を見て回ったことから、「ランプの貴婦人」とも呼ばれていました。


この時夜回りの際に掲げたランプとその炎が後に、"永遠に続く火"として使用されること

になります。


"永遠に続く火"は、絶えざる知識の象徴として使用されています。



切手は1950年ペルー発行の「国民教育普及切手」で、若い女性が永遠の火をかざして読書する光景が描かれています。





切手は1964年南アフリカ発行の「看護協会創立50年記念切手」で、若い看護師が永遠の火をかざしている光景が描かれています。





切手は1973年韓国発行の「大韓看護協会創立50年切手」で、若い看護師が永遠の火をかざしている光景が描かれています。






2023年7月25日火曜日

切手に見る知識の扉-19.割礼について-

割礼(かつれい)とは、主に宗教上の理由で男子の性器の包皮の一部を切除することを言います。


また、宗教上の理由のほかに、衛生上の理由などで行われる場合もあります。


割礼は、古来より中東の民族を中心に行われ、エジプトやユダヤの社会などで行われていましたが、割礼習慣のないギリシア人・ローマ人などから見ると、嫌悪すべき野蛮な風習とみなされていました。


現在でもユダヤ教やイスラム教、アフリカの諸民族などでは、宗教的な意味合いから割礼を行っている国々や地域は多く存在します。


カトリックでは、12月25日をイエスの誕生日としているので、8日後に割礼を行うユダヤ人の習慣から、1月1日が『キリストの割礼の日』と定めています。


切手は1969年スペイン発行の「絵画切手」でアロソン・カーノ(1601~1667)のキリストの割礼を描いた切手です。




切手は1983年リベリア発行の「クリスマス切手」で、ラファエロ・サンテイ(1483~1520)のキリストの割礼を描いた切手です。





切手は1982年パラグアイ発行の「キリストの生涯切手」の中の一枚で、アルブレヒト・デューラー (1471~1528)のキリストの割礼を描いた切手です。





切手は1987年グレナダ発行の「クリスマス切手の小型シート」で、ジョヴァンニ・ベッリーニ(1430?~1516)のキリストの割礼を描いた切手です。






2023年7月24日月曜日

切手に見る赤十字-6.赤新月マークの三日月の向きはどちらが正しいのか-

月が右向き(凸面が左側になる)が赤新月として広く使用されていますが、国によっては、左向きの月(凸面が右側になる)を使用する場合もあります。


「その国が赤新月社を設立するときにその社の定めた方向」が正しいのです。


ですから,どちらでも構わないことになります。


切手は1955年アフガニスタン発行の「赤新月の日切手」で、右向きの赤新月が描かれています。




切手は1946年トルコ発行の「トルコ赤新月社創立69年記念切手」の中の一枚で、右向きの赤新月と看護師が描かれています。




切手は1968年チュニジア発行の「チュニジア赤新月社切手」の中の一枚で。左向きの赤新月が描かれています。




切手は1980年ヨルダン発行の「国際看護デー切手」の中の一枚で、赤ちゃんを抱く赤新月社の看護師の左後ろに左向きの赤新月が描かれています。




一番切手-3.古生物を描いた切手-

現在では世界各国から古生物を描いた切手が数多く発行されて珍しくありませんが、初めて古生物を取り上げた国はインドです。


1951年に地質調査100年を記念した切手に像の祖先のステゴドンを描いています。


ステゴドンは、絶滅した大型哺乳類の一種で、現在のアジア地域に分布していた動物です。


ステゴドンは、ゾウ科に属し、約1,800万年前から約1万年前まで地球上に存在していました。


ステゴドンは、現代のゾウに似た外見を持っており、大きな体と長い鼻を持っていました。


切手は1951年インド発行の「インド地質調査100年記念切手」で、像の祖先に当たるステゴドンが描かれています。




よもやま話-1.アテナとオリーブ-

ギリシャ神話において、女神アテナとオリーブは密接な関係があります。 アテナは、知恵、芸術、技術、戦争などを司る女神で彼女ゼウスの頭から生まれたとも、父親であるゼウスがティターン族の智慧の女神メティスを飲み込んだ際に、メティスの頭から生まれたともいわれています。 オリーブは、地中海...