オット・フォン・ゲーリケの半球を用いた真空の実験について解説いたします。
オットー・フォン・ゲーリケ(1602~1686)は、ドイツの物理学者、工学技師、かつ政治家でもあり、真空の研究で知られています。
銅製の半球状容器(マクデブルクの半球)を2つ組み合わせ、その内部の空気を真空ポンプで排気すると、2つの半球は容易に離れないという実験です。
古代ギリシャの哲学者アリストテレス(紀元前384~紀元前322)が「自然は真空を嫌う」と述べた"真空嫌悪説"は、真空という状態は作れないとする仮説への反証となり、長年の哲学者および科学者の議論に終止符が打たれることになります。
この実験は1654年5月8日、レーゲンスブルクの帝国議事堂前において行われ、空気を抜いた2つの半球はなかなか離れませんでしたが、左右各8頭の馬が双方から引っ張ってようやく半球を外すことができたとされています。
※「マクデブルクの半球」の呼び名は、当時ゲーリケがマクデブルク市長であったことに由来しています※
彼は気圧計を用いてはじめて科学的な天気予想を行い、それが気象学の先駆けとなることになります。
切手は1969年東ドイツ発行の「マクデブルク郵便切手展覧会開催記念切手」で、切手の左にはマクデブルク大聖堂、右にはホテルインターナショナルとともに彼の像が中央描かれています。
切手は2002年ドイツ発行の「オットー・フォン・ゲーリケ生誕400周年記念切手」で、ゲーリケの半球の実験が描かれています。