イチジクの美味しい季節になりました。
イチジクは漢字で書くと「無花果」と書き花のない植物のように思われますが、花はありますし種もあります。
イチジクを縦半分に割って断面を観察してみますと、一番外側には白い果肉の層があり、中央にいくにつれ赤くなり、その先にあるプチプチした粒が確認されますが、このプチプチした粒がイチジクの種なんです。
我々が果実として食べる部分は花嚢と呼ばれ、6月頃に花嚢の中で無数の白い小花を咲かせますが花が外側から見えない事からこの「無花果」の漢字があてられたようです。
外国のイチジクの品種には種をつけるものがありますが、日本のイチジクは種をつけません。
果実に含まれる酵素フィシンは、消化促進作用があり、胃もたれや二日酔い防止に効果があるとされています。
このフィシンは輸血検査に利用されています。
【おまけの話】
イチジクには雄花と雌花があり、人が食べるのは雌花で、雄花はイチジクコバチのメスが卵を生むために使われます。
メスのイチジクコバチは、とても細い通路を通ってイチジクの雄花に入り込みますがイチジク内の通路はとても細いので途中で羽と触角が折れてしまい一度イチジク中に入ると抜け出ることはできず、産卵後死んでしまいます。
卵は孵化するとオス・メス両方のイチジクコバチが生まれますが、オスのイチジクコバチには羽がなくオスの目的は、同じ雄花の中にいるメスのイチジクコバチと交尾し、外へと抜けるトンネルを掘ることが仕事です。
そしてオスが作ったトンネルを通ってメスのイチジクコバチが花粉を外へと運ぶ訳です。
一方、雌花には卵を産むスペースはほとんどなく間違って雌花に入ったイチジクコバチのメスは、卵を埋めないまま花の内側で死んでしまいます。
それでは、私たちはイチジクと一緒に死んだイチジクコバチを食べてる気になりますが、大丈夫です!!イチジクにはフィシンと呼ばれるタンパク分解酵素があり、イチジクコバチをタンパク質に変えてしまいます。
そのために人が口にするイチジクには、イチジクコバチは入っていません。
ところが日本にはイチジクコバチはすんでいないし、日本で栽培されているイチジクの品種はイチジクコバチが花粉を運ばなくても、花粉がついたのと同じように実がなる性質(単為結果性)を有するイチジクですから、"イチジクを食べようとして割ったらイチジクコバチが出てきた"なんてことは日本ではありえません。
切手は1993年ブルガリア発行の「フルーツ切手」の中の一枚で、枝になったイチジクとイチジクの断面図が描かれています。
切手は2017年ポルトガル発行の「ポルトガルの果物連刷切手」の中の一枚で、熟したイチジクとその断面図が描かれています。
切手は2007年ヨルダン発行の「フルーツ切手」の中の一枚で、熟したイチジクとその断面図が描かれています。