中世ヨーロッパでは、尿の観察を病気の重要な診断法として広く用いられていました。
医師はすべて透明のガラス容器の検尿瓶に尿を入れて、これを明るい光にかざして尿の色・混濁・浮遊物・匂いなどを観察し、病気を診断しました。
今でもヨーロッパの美術館や寺院には、この時代の医師の姿を描いた絵画や彫刻が数多く残されています。
中世の医師のシンボルこそがこの検尿瓶だったのです。
現在でも尿中の蛋白や糖などを調べ、様々な病気やその兆候を知るために尿検査は行われています。
1816年、フランスの医師ルネ・ラネンネック(1781~1826)はノートを丸めて女性の患者の胸にあて、聴診法を試みたところ心音を明瞭に聴くことができ驚き、そこでボール紙を丸めて糸で縛り、ニカワを塗って固めて作りそれをステトスコープ(Stetoscope:聴胸器)と命名しました。
1819年に「間接聴診法」という新たな専門用語を生み出し聴診器による聴診法が確立され、その結果検尿瓶から聴診器が内科医のシンボルとなります。
切手は1982年オーストリア発行の「第5回ヨーロッパ泌尿器学会会議」で、検尿瓶に取った尿をかざして観察するペルシアの名医アビケンナ(980~1037)の姿が描かれています。
切手は2005年ポーランド発行の「ポーランド医師会創立200年記念切手」で、白衣のポレケットに収められた聴診器が描かれています。