ヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus:HPV)は、性経験のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。
性交渉を経験する年頃になれば、男女を問わず多くの人々がHPVに感染し、そのうち一部の女性が将来高度前がん病変や子宮頸がんを発症することになります。
HPVは子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がんなどのがんや尖圭コンジローマ等多くの病気の発生に関わっています。
子宮頸がんは年間約10,000人が罹患し、約2,800人が死亡しており、患者数・死亡者数とも近年漸増傾向にあります。
特に、他の年齢層に比較して50歳未満の若い世代での罹患の増加が問題となっています。
発がん性HPVの中で、とくにHPV16型、HPV18型は特に前がん病変や子宮頸がんへ進行する頻度が高く、スピードも速いと言われていますが、HPV16型、HPV18型の感染は、HPVワクチンによって防ぐことができます。
HPV感染症を防ぐワクチンとしてのHPVワクチンは、小学校6年~高校1年相当の女子を対象に、定期接種が行われています。
しかし、HPVワクチンは接種により、注射部位の一時的な痛み・腫れなどの局所症状は約8割の方に生じるとされています。
また、注射時の痛みや不安のために失神(迷走神経反射)を起こした事例が報告されていますが、これについては接種直後30分程度安静にすることで対応が可能です。
2013年4月に定期接種化されたHPVワクチンは、子宮頸がん予防の効果が期待される一方、接種後に広範な慢性の疼痛などの多様な症状がみられたため、2ケ月後の2013年6月に積極的勧奨の差し控えが実施され現在に至っています。
先進国ではHPVワクチンの接種が推奨されています
現在、世界の80カ国以上でHPVワクチン接種が進められていますが、先進国では既に9価ワクチンが主流となっています。
世界保健機関(WHO)も、9価ワクチンも含むこれまでの接種で「安全上の問題は見つかっていない」としてHPVワクチン接種を推奨しています。
子宮頸がんの90%以上を防ぐとして先進国では主流となっていましたが、 2020年7月21日日本においても9価ワクチンが認められたことからやっと先進国の仲間入りができたことになります。
切手は2020年オーストラリア発行の「医療の革新切手3」で、背景にはHPVと若い女性のシルエットそして注射器とHPVワクチンが描かれています。
HPVワクチンを描いた最初の切手です。