ブログ内検索

2023年10月10日火曜日

切手に描かれたモンスター-11.皿屋敷-

皿屋敷は、お菊の亡霊が井戸で夜な夜な「いちまーい、にまーい... 」と皿を数える情景が周知となっている怪談話の総称で、播州姫路が舞台の『播州皿屋敷』、江戸番町が舞台の『番町皿屋敷』が有名です。


下女が主家秘蔵の皿を割ったために井戸に投身し(もしくは斬り殺され井戸に放り込まれた)、その亡霊が現れて皿の枚数を悲しげに数えるという怪談話です。


切手は2003年シエラレオネ発行の「日本美術 - 幽霊と悪魔切手」の中の一枚で、月岡芳年(1839~1892)が描いた浮世絵の『皿屋敷 お菊の霊』が描かれています。 




2023年10月8日日曜日

切手に見るヘラクレス物語-16.番外編3.ヘラクレスの名前を冠した虫-

ギリシャ神話に登場するアンタイオスは、海の神ポセイドンと地球の女神ガイアの息子であるリビアの巨人で、彼は国を通過しているすべての見知らぬ人に彼と格闘するように強いました。


ヘラクレスも格闘を申し込まれ彼と戦いますが、いくら倒してもアンタイオスが大地に触れると力を吹き返しいくら地面に投げられても彼は無敵でした。


ヘラクレスはアンタイオスの足が大地に着いていなければその力を発揮しない弱点に気づき、ヘラクレスはアンタイオスを持ち上げ絞め殺します。


アンタイオスを天空高く持ち上げて締め潰して倒したことから、長い角で相手を高々と挟み持ち上げるこのカブトムシに名が冠せられたとされています。


切手は1970年ギリシャ発行の「ヘラクレスの功績切手」の中の一枚で、巨人アンティウスと戦うヘラクレスが描かれていてます。





ヘラクレスオオカブトは、熱帯や亜熱帯に生息し世界最大のカブトムシとして知られ、最大個体は全長180mm以上に達しギリシア神話最大の英雄ヘラクレスに由来する。


切手は1994年ドミニカ発行の「自然保護の甲虫切手」の中の一枚で、ヘラクレスオオツノガトのオスが描かれています。




切手は2003年ニカラグア発行の「ニカラグアの昆虫切手」の中の一枚で、ヘラクレスオオツノガトのオスが描かれています。




切手は1993年ブラジル発行の「通常切手」の中の一枚で、ヘラクレスオオツノガトのオスが描かれています。





2023年10月6日金曜日

一番切手-12.エイズホットラインを描いた世界最初の切手-

エイズ予防切手は、全世界から多く発行されています。


中には奇抜なデザインで驚かされるものも数多くあります。


今回紹介する切手は、2011年ドミニカ国から発行された「エイズ制圧切手」で、左右上部にはレッドリボン、二羽の鳥の中央には『一人のパートナーを!』の標語がハートで囲まれ、その下に『HIV/AIDSホットライン』の電話番号が表記されています。





現在まで数多くのエイズ切手が発行されていますが、『エイズホットライン』の電話番号が描かれた切手は、これが最初です。


2023年10月4日水曜日

知識の扉-4.イチジクは愛犬に与えてはダメ!!-

美味しいイチジクですが、愛犬に与えてはいけません。


なぜならイチジクには、"ソラレン"や"フィシン"といった犬が中毒を引き起こす成分が含まれているからです。


ソラレンは紫外線の吸収率を高めメラニン色素を生成する光毒性のある成分ですが、犬がソラレンを摂取すると、下痢や嘔吐といった中毒症状を引き起こす場合があります。


またタンパク分解酵素のフィシンは、整腸作用がありますが、イヌには毒性の強い成分で口の中を荒らす可能性があります。


犬がイチジクをどのくらい食べたら中毒症状を起こすのかは、いまだにわかっていません。


また、中毒症状が現れるかどうかは個体差があることから同じ量を食べても中毒症状が現れる犬と何ら体調の変化を示さない犬がいます。


要するに犬がイチジクをなめたり、少量を食べたりした程度であっても中毒症状が現れる可能性はゼロではないので気をつけてください。


愛犬が、イチジクを誤って食べてしまったら、まずは愛犬の体調をしっかりと観察して、中毒症状が出ていないかどうかを確認してください。


愛犬に嘔吐や下痢、よだれなどの症状が見られる場合には、中毒の可能性があるので軽度であっても動物病院を受診してください。


切手は1974年シリア発行の「農工フェア切手」の中の一枚で、イチジクの木と果実が描かれています。




切手は2007年マルタ発行の「フルーツ切手」の中の一枚で、未熟なイチジクと熟れたイチジクの果実が描かれています。




切手は2015年日本発行の「野菜とくだものシリーズ第4集」の中の一枚で、熟れたイチジク果実が描かれています。




2023年10月2日月曜日

切手に描かれたモンスター-10.東海道四谷怪談-

四谷怪談とは、元禄時代に起きたとされる事件を基に創作された日本の怪談で、


田宮伊右衛門の妻岩が伊右衛門に惨殺され、幽霊となって復讐を果たすという物語です。


この話は日本一有名な怪談とされ、歌舞伎・映画・テレビドラマ化されています。


お岩さんの祟を防ぐ意味から、『東海道四谷怪談』を上演する際は、お岩役を演じる役者や関係者一同が成功祈願としてお岩詣でに行くのがならわしで、それは現在になっても変わりません。


私も子供の頃お岩さんの映画を上映している舞台に無事故祈願を願って祀られていたのを記憶しています。


切手は2003年モルディブ発行の「日本美術 - 幽霊と悪魔切手」の中の一枚で、江戸時代後期の大坂の浮世絵師春江斎北英(生没年不詳)の『百物語のお岩』が描かれています。


この作品は歌舞伎の役者絵でもあり、夫の伊右衛門を演じるのは歌舞伎役者の二代目嵐璃寛(1788~1837)で、破れ提灯がお岩の顔になっていますが、この題材は葛飾北斎の「百物語 お岩」をそっくり拝借したものです。




2023年9月30日土曜日

切手に見るヘラクレス物語-15.番外編2.ヘラクレスの柱-

ヘラクレスの柱とは、ジブラルタル海峡の入口にある岬につけられた古代の地名です。


ヘラクレスの柱という名前は、ギリシア神話に登場するの英雄ヘラクレスに由来しています。


ヘラクレスは10番目の功業をなし終え、エリュテイアへ向かう途中、アトラス山を横断する必要がありましたが、彼は山を登る代わりに近道し、巨大な山をその怪力で砕くことにします。


ヘラクレスは不滅の鎚矛または棍棒を使って山を真っ二つにし、大西洋と地中海がジブラルタル海峡で繋がることになります。


それ以降分かれた2つの山をひとまとめにして、ヘラクレスの柱と呼ぶようになった。


ヘラクレスの柱は、スペインの国旗に使用されています。


切手は1988年国連発行の「国連加盟国国旗切手シリーズ」の中の一枚で、ヘラクレスの柱を使用したスペインの国旗が描かれています。





切手は1981年ジブラルタル発行の「ヨーロッパ切手」の中の一枚で、ヘラクレスとヘラクレスの柱が描かれています。




切手は2022年ジブラルタル発行の「ヨーロッパ切手-物語と神話」の中の一枚で、ヘラクレスとヘラクレスの柱が描かれています。




2023年9月28日木曜日

知識の扉-3.イチジクは花が咲かないの-

イチジクの美味しい季節になりました。


イチジクは漢字で書くと「無花果」と書き花のない植物のように思われますが、花はありますし種もあります。


イチジクを縦半分に割って断面を観察してみますと、一番外側には白い果肉の層があり、中央にいくにつれ赤くなり、その先にあるプチプチした粒が確認されますが、このプチプチした粒がイチジクの種なんです。


我々が果実として食べる部分は花嚢と呼ばれ、6月頃に花嚢の中で無数の白い小花を咲かせますが花が外側から見えない事からこの「無花果」の漢字があてられたようです。


外国のイチジクの品種には種をつけるものがありますが、日本のイチジクは種をつけません。


果実に含まれる酵素フィシンは、消化促進作用があり、胃もたれや二日酔い防止に効果があるとされています。


このフィシンは輸血検査に利用されています。


【おまけの話】


イチジクには雄花と雌花があり、人が食べるのは雌花で、雄花はイチジクコバチのメスが卵を生むために使われます。


メスのイチジクコバチは、とても細い通路を通ってイチジクの雄花に入り込みますがイチジク内の通路はとても細いので途中で羽と触角が折れてしまい一度イチジク中に入ると抜け出ることはできず、産卵後死んでしまいます。


卵は孵化するとオス・メス両方のイチジクコバチが生まれますが、オスのイチジクコバチには羽がなくオスの目的は、同じ雄花の中にいるメスのイチジクコバチと交尾し、外へと抜けるトンネルを掘ることが仕事です。


そしてオスが作ったトンネルを通ってメスのイチジクコバチが花粉を外へと運ぶ訳です。

一方、雌花には卵を産むスペースはほとんどなく間違って雌花に入ったイチジクコバチのメスは、卵を埋めないまま花の内側で死んでしまいます。


それでは、私たちはイチジクと一緒に死んだイチジクコバチを食べてる気になりますが、大丈夫です!!イチジクにはフィシンと呼ばれるタンパク分解酵素があり、イチジクコバチをタンパク質に変えてしまいます。


そのために人が口にするイチジクには、イチジクコバチは入っていません。


ところが日本にはイチジクコバチはすんでいないし、日本で栽培されているイチジクの品種はイチジクコバチが花粉を運ばなくても、花粉がついたのと同じように実がなる性質(単為結果性)を有するイチジクですから、"イチジクを食べようとして割ったらイチジクコバチが出てきた"なんてことは日本ではありえません。


切手は1993年ブルガリア発行の「フルーツ切手」の中の一枚で、枝になったイチジクとイチジクの断面図が描かれています。





切手は2017年ポルトガル発行の「ポルトガルの果物連刷切手」の中の一枚で、熟したイチジクとその断面図が描かれています。




切手は2007年ヨルダン発行の「フルーツ切手」の中の一枚で、熟したイチジクとその断面図が描かれています。





2023年9月26日火曜日

切手に見る原理・法則・定理-16.真空の実験-

オット・フォン・ゲーリケの半球を用いた真空の実験について解説いたします。


オットー・フォン・ゲーリケ(1602~1686)は、ドイツの物理学者、工学技師、かつ政治家でもあり、真空の研究で知られています。


銅製の半球状容器(マクデブルクの半球)を2つ組み合わせ、その内部の空気を真空ポンプで排気すると、2つの半球は容易に離れないという実験です。


古代ギリシャの哲学者アリストテレス(紀元前384~紀元前322)が「自然は真空を嫌う」と述べた"真空嫌悪説"は、真空という状態は作れないとする仮説への反証となり、長年の哲学者および科学者の議論に終止符が打たれることになります。


この実験は1654年5月8日、レーゲンスブルクの帝国議事堂前において行われ、空気を抜いた2つの半球はなかなか離れませんでしたが、左右各8頭の馬が双方から引っ張ってようやく半球を外すことができたとされています。


※「マクデブルクの半球」の呼び名は、当時ゲーリケがマクデブルク市長であったことに由来しています※


彼は気圧計を用いてはじめて科学的な天気予想を行い、それが気象学の先駆けとなることになります。


切手は1969年東ドイツ発行の「マクデブルク郵便切手展覧会開催記念切手」で、切手の左にはマクデブルク大聖堂、右にはホテルインターナショナルとともに彼の像が中央描かれています。





切手は1969年東ドイツ発行の「マクデブルク郵便切手展覧会開催記念切手」で、マクデブルクの半球による真空の実験の様子が描かれています。



切手は2002年ドイツ発行の「オットー・フォン・ゲーリケ生誕400周年記念切手」で、ゲーリケの半球の実験が描かれています。




2023年9月24日日曜日

切手に描かれたモンスター-9.オペラ座の怪人-

『オペラ座の怪人』は、フランスの作家ガストン・ルルー(1865~1927)によって1909年に書かれた小説です。


フランスの小説家で新聞記者でもあったガストン・ルルー(1868~1927)が実際にパリのオペラ座について詳しく研究・取材し、当時噂になっていた幽霊話や実際の事件などを織り交ぜた疑似ノンフィクションのミステリーロマンスです。


19世紀後半のパリにあるオペラ座の地下には、人知れず音楽の才能豊かな怪人が住み着いていた。


怪人呼ばれるファントムは生まれつき醜く、母親からも愛された事はなく、嫌われ迫害され続けた末に罪を犯し、オペラ座の地下に逃げ込んで、仮面をつけて孤独に暮らし続けて来たのです。



切手は1997年米国発行の「怪奇映画のモンスター切手」の中の一枚で、オペラ座の怪人が描かれています。





切手は2014年マーシャル諸島発行の「映画の怪物切手」の中の一枚で、オペラ座の怪人が描かれています。




切手は2014年マーシャル諸島発行の「映画の怪物切手」の中の一枚で、仮面をかぶったオペラ座の怪人が描かれています。





切手は2010年フランス発行の「ヨーロッパの首都シリーズミニチュアシート」の中にオペラ座が収められています。




オペラ座はパリ国立歌劇場の通称で、パリ・オペラ座とも呼ばれますが、1875年に完成したガルニエ宮とも呼ばれています。


この切手上部には、ガルニエ・オペラと記載されています。


2023年9月22日金曜日

切手に見るヘラクレス物語-14.番外編1.プロメテウスの救出-

全能の神ゼウスが人間と神を区別しようと考えた際、プロメテウスはその役割を自分に任せて欲しいと懇願し、彼は大きな牛を殺して二つに分け、一方は肉と内臓を食べられない皮で包み、もう一方は骨の周りに脂身を巻きつけて美味しそうに見せかけました。


プロメテウスはどちらかを神々の取り分として選ぶようゼウスに求め、ゼウスが美味しそうに見える脂身に巻かれた骨を選び、人間の取り分が美味しくて栄養のある肉や内臓になるように計画していた。


ゼウスは騙されて脂身に包まれた骨を選び、怒って人類から火を取り上げました。


プロメテウスは、ゼウスによって火を取り上げられ、自然界の猛威や寒さに怯える人類を哀れみ、火があれば、暖をとることもでき、調理も出来ると考え人類に「火」を与えます。


人類はプロメテウスから与えられた火によって多くの恩恵を授かりますが、同時にゼウスが予言した通り、その火を使って武器を作り戦争を始めるに至ります。


これに怒ったゼウスは、権力の神クラトスと暴力の神ビアーに命じてプロメテウスをカウカーソス山の山頂に磔にさせ、生きながらにして毎日肝臓をテューポーンとエキドナの子である巨大な鷲についばまれる責め苦を与えます。


プロメーテウスは不死であるため、彼の肝臓は夜中に再生し、苦しみながら30000年も耐えることになります。


プロメテウスは、のちにヘラクレスによりプロメテウスの内臓を食べていたワシを退治し解放されるまでこの責め苦に苦しむことになります。


切手は1997年ギリシャ発行の「1997年ヨーロッパ切手-賢者と伝説-」の中の一枚で、人類に火を与えるプロメテウスが描かれています。





切手は1973年ギリシャ発行の「ギリシャ神話切手」の中の一枚で、大鷲に肝臓を啄まれるプロメテウスが描かれています。



左に描かれているのはプロメテウスの兄に当たる両腕と頭で天の蒼穹を支えるとされるアトラスです。


よもやま話-1.アテナとオリーブ-

ギリシャ神話において、女神アテナとオリーブは密接な関係があります。 アテナは、知恵、芸術、技術、戦争などを司る女神で彼女ゼウスの頭から生まれたとも、父親であるゼウスがティターン族の智慧の女神メティスを飲み込んだ際に、メティスの頭から生まれたともいわれています。 オリーブは、地中海...