現代看護の創始者フローレンス・ナイチンゲールの偉業を讃え、1893年アメリカ合衆国ミシガン州デトロイト市にあるハーパー病院のファーランド看護学校 の校長リストラ・グレッターを委員長とする委員会で"ヒポクラテスの誓い"の内容を元に作成されたものです。
『ナイチンゲール誓詞(せいし)』とは、一言で表すと「看護従事者に対する倫理規範」のことです。
ナイチンゲール誓詞には、「患者の命を救うためにあらゆる手段を尽くす」という医療従事者としての心構え、「患者のプライバシーを尊重する」、「常に成長を目指して努力を続ける」という職看護師としての姿勢まで定められています。
『ナイチンゲール誓詞』は現在でも、医療・看護教育の現場で規範として活用されることが多く、アメリカの看護教育現場では、戴帽式や卒業式などのセレモニーで『ナイチンゲール誓詞』が活用されている一方、ナイチンゲールの母国イギリスでは、アメリカで作られた「ナイチンゲール誓詞」はあまり好まれていないようで使用されていません。
現代の医療現場においてもほとんどの国の看護教育で、ナイチンゲールの遺した文書や、彼女の思想に基づく教材が使われています。
この有名な誓詞は、実はその作成や編集にフローレンス・ナイチンゲール自身は携わっていません。
されどナイチンゲール誓詞の内容自体はナイチンゲールの考え方と合致する点も多いことから、『ナイチンゲール誓詞』という形で、看護師の倫理規範を定めることに貢献した」という意味ではやはりナイチンゲールの功績だと言えるのかもしれません。
実際ナイチンゲールは、彼女の"看護覚え書き"の中で、ナイチンゲール誓詞に対して、「私たちがこの道に入るにあたって、”誓い”などというものは必要ない」「厭世や失恋などの俗物的な理由とは違う、まったく別の理由で看護の道を志していると自覚するために、わざわざあえて『誓い』を立てる必要があるのか」「看護師という職業を、そんな次元の低いものと見なしているのだろうか」と書き記し誓詞に対してまっすぐな苦言を呈しています。
【ナイチンゲール誓詞一文】
われは此処に集いたる人々の前に厳かに神に誓わん。
わが生涯を清く過ごし、わが任務を忠実に尽くさんことを。
われは総て毒あるもの、害あるものを絶ち、悪しき薬を用いることなく又知りつつこれをすすめざるべし。
われはわが力の限りわが任務の標準を高くせんことを努むべし。
わが任務にあたりて、取り扱える人々の私事のすべて、わが知り得たる一家の内事のすべて、われは人に洩らさざるべし。
われは心より医師を助け、わが手に託されたる人々の幸のために身を捧げん。
切手は1939年ベルギー発行の「国際赤十字創立75周年記念切手」の中の一枚で、若き日のナイチンゲールの肖像が描かれています。
切手は1983年イギリス領ヴァージン諸島発行の「看護週間切手」の中の一枚で、ランプを持つ端正なナイチンゲールの肖像が描かれています。
切手は2020年ジブラルタル発行の「ナイチンゲール生誕200年記念切手」で、若き日のナイチンゲールの肖像が描かれています。