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2023年7月13日木曜日

切手に見る赤十字-1.赤十字社とは-

赤十字社とは、スイス人実業家アンリ・デュナン(1828~1910)の提唱により創立された、「人道・公平・中立・独立・奉仕・単一・世界性」の7原則を掲げて、世界各国に存在する人道的活動団体です。


彼は、赤十字社創設の功績により、1901年に第1回ノーベル平和賞を受賞しています。


赤十字社は国の内外を問わず、戦争や大規模な事故や災害の際に敵味方区別なく中立機関として人道的支援を行い、組織的には「ジュネーヴ条約」とこれに基づく国内法によって、特殊な法人格と権限を与えられた団体で、一国一社しか認められていません。


2020年11月現在、 世界の赤十字社・赤新月社等の数は、192社です。


赤十字の標章は、多くの国では、識別マークはデュナンの母国スイスの国旗の色を反転した、白地に赤い十字(赤十字)を採用していいます。


呼び方ついては「赤十字社」が一般的ですが、中華人民共和国では「紅十字会」、また北朝鮮では「赤十字会」と呼んでいます。


また、イスラム諸国では、「十字はキリスト教を意味し、十字軍を連想する」として意味嫌われたため、白地に赤色の新月を識別マークとし、「赤新月社」(せきしんげつしゃ)と呼んでいますが、同じイスラム教国であるインドネシアは例外的に「赤十字社」です。


またパキスタン、マレーシア、バングラデシュなどは設立当初は「赤十字社」でしたが、のちに「赤新月社」に変更しています。


その他の標章として、イスラエルの使用する「ダビデの赤盾」(赤盾社)は、正式な赤十字の標章としては認められていません。


また、王制当時のイランで使用されていた「赤獅子太陽」(イラン赤獅子太陽社)現在は使用されていません。


赤十字の標章がこのように多種にわたり乱立した事から、赤十字・赤新月に代わる共通の第三の標章採用が提案され、2005年12月8日の総会において全会一致原則の総会では異例である投票による賛成多数により、赤の菱形を象った宗教的に中立な第三の標章「レッドクリスタル(赤水晶、赤菱形、赤菱)」が正式に承認されています。


「レッドクリスタル」の標章の意味や法的効力は従来の赤十字・赤新月と完全に同一です。


このため「レッドクリスタル」の中に「ダビデの赤盾」のマークを入れた標章を用いることで、イスラエルの赤盾社は国際赤十字への加盟が出来る事となり、赤十字国際委員会は同社を正式に承認しています。


更に国内での宗教勢力のバランスから赤十字・赤新月の標章を併用したいと主張しているエリトリア等の国や地域でも、「レッドクリスタル」の中に赤十字・赤新月両方のマークを入れた標章を使用することで国際赤十字への加盟を申請しています。


赤十字の各マークについては、次回からゆっくりと話させていただきます。


切手は2010年スロベニア発行の「チャリティ切手」で、アンリ・デュナンの肖像が描かれています。




切手は2010年アイルランド発行の「国際人道主義者切手」で、赤十字の旗とともに晩年のアンリ・デュナンの肖像が描かれています。




切手は、1966年デンマーク発行の「赤十字切手」で、赤十字・赤獅子太陽・赤新月の標章と共に、『赤十字』を32カ国語で列記されています。



当然日本語で「赤十字」の文字は入っていますが、どこに描かれているか分かりますか。

下記の日本語で「赤十字」と記載された箇所の拡大図を掲載しておきます。






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