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2024年1月28日日曜日

医学切手徒然草-6.癌についてのアラカルト-

日本語でがんとは、「癌」と書きます。


これは、悪性腫瘍のなかでも特に上皮由来の「癌腫(上皮腫)」のことを意味しています。


英語ではがんのことをキャンサー(Cancer)またはカルチノーマ(Carcinoma)と呼びます。


ドイツ語ではがんのことをクレブス(Krebs)と呼びます。


キャンサー、カルチノーマ、クレブスの意味は、いずれも"カニ"の意味で、ギリシア語のカニを表わすカルチノウスが語源です。


これは、乳がんをよく観察するとあたかもカニが手足を広げたようなかたいしこりが、表面から触れるようになることを表現したものと言われています。


「癌」を表す「cancer」は、かに座 (cancer) と同じ単語です。


切手は1965年ニジェール発行の「がんとの戦い切手」で、がんに見立てられたカニを握りつぶすことによってがんとの戦いを表現しています。



切手は1976年オーストリア発行の「がん早期発見切手」で、恐ろしい形相をしたカニをがんに見立てています。




切手は1974年オランダ発行の「がんとの戦い切手」で、がんに見立てたカニをに治療を表す剣が突き立てられています。





切手は1979年パキスタン発行の「がんとの戦い切手」でがんに見立てた巨大なカニと戦う戦士を描くことによってがんとの戦いを表現しています。




2024年1月26日金曜日

切手に見る医学と植物-10.ポリフェノール-

ポリフェノールとは、植物が自身を活性酸素から守るために作り出す物質で、抗酸化物質の代表で、分子内にフェノール性水酸基を複数(ポリ)もつ植物成分の総称なので、「ポリフェノール」と呼ばれておりポリフェノールは、数千種類以上もあると言われています。


ポリフェノールで代表的なものは赤ワイン、コーヒーやココアです。


ポリフェノールには、抗酸化作用があり老化を防ぐという仮設があります。


1980年代には、赤ワインのポリフェノールが良いというブームがありました。


ブドウの実・皮・種には、レスペラトロールと呼ばれるポリフェノールがあり、ブドウから作られる赤ワインが身体に良いとされました。


しかし公的研究機関によりますと、ポリフェノールの持つ抗酸化作用が、老化を防ぐというのは仮説の粋を出てていません。


要するに健康のためにどれだけの量を摂取すればよいかという厳密な量は、現時点ではわかっていません。


健康に良いからと言って赤ワインを日々多量に飲むと肝硬変などになるリスクも高まってしまいますから、適度に飲む必要があります。


切手は2001年ブルガリア発行の「ワインとワイン生産地切手」の中の一枚で、ガムザ赤ワインと製造に使われるブドウ及ババ・ヴィダ城が描かれています。



切手は2002年スペイン発行の「2002年原産地呼称のワイン切手」の中の一枚で、リオハ赤ワインと製造に使われるブドウ及ブドウ畑が描かれています。




切手は2009年サンマリノ発行の「ヨーロッパの著名なワイン切手」の中の一枚で、テッサーノ赤ワインが描かれています。




切手は2015年オーストリア発行の「オーストリアのワイン切手」の中の一枚で、カルヌントゥムの赤ワインと製造に使われるブドウ及びカルヌントゥム考古学公園が描かれています。






2024年1月24日水曜日

医学切手徒然草-5.HIVについて-

HIVとは、HIV(Human Immunodeficiency Virus:ヒューマン・ イムニュノデフィシエンシー・ ウイルス )のことで、ヒト免疫不全ウイルスと訳されています。


HIVは人の免疫細胞に感染して免疫細胞を破壊し、最終的に後天性免疫不全症候群(Acquired immune deficiency :アクワイアード ・イムニューム ・デフィシエンシー ・シンドローム(エイズ))を発症させるウイルスのことを言います。


エイズウイルスとは、新聞・テレビなどのマスメデイアでよく使用され、HIVを指す言葉と考えられていますが、医学用語ではなくマスコミ用語です。


HIVウイルスともよく表現されますが、HIVそのものでヒト免疫不全ウイルスと訳されますから、それにウイルスをつけて"ヒト免疫不全ウイルスウイルス"となってしまい、これは間違いです。


またAIDSは後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome)でHIVが免疫細胞に感染し、免疫細胞を破壊して後天的に免疫不全を起こす免疫不全症のことですから、AIDSに感染するという言葉は誤りで、HIVに感染するというのが正しい言い方です。


まとめますと、HIVは後天性免疫不全症候群を引き起こすウイルスで、AIDSとはHIVによって免疫力が低下しておきる感染症です。


切手は1994年スペイン領アンドラ発行の「ヨーロッパ 切手 1994 - 発見と発明」の中の一枚で、HIVが描かれています。



切手は1995年バハマ発行の「世界エイズデー切手」の中の一枚で、白血球の中から血液中に出ていくHIVが描かれています。



切手は1991年エチオピア発行の「世界エイズデー切手」の中の一枚で、AIDSの病気のステージが描かれています。



切手は2006年ガーナ発行の「エイズ切手」の中の一枚で、AIDSを発症してやせ細った男女が描かれています。




切手は2005年セント・キッツ島発行の「ロータリークラブ創立100年記念切手」の中の一枚で、治療を待つAIDS患者が描かれています。





2024年1月22日月曜日

一番切手-24.新型コロナウイルス発祥地を描いた世界最初の切手-



2021年サントメ・プリンシペ発行(正式な国の発行ではなくエージェント会社発行)の小型シートで、切手面には新型コロナ対策をする医療従事者と新型コロナウイルスの模式図とともにこのウイルスの発祥地が中国武漢であることがはっきり記されています。


またシート面には中国武漢の海鮮市場、新型コロナウイルスの模式図、感染者数を表すグラフととともにこのウイルスの媒介者とされているコウモリが描かれています。


2021年11月時点これだけはっきりと新型コロナの発祥地が武漢であることが描かれたものは他にはないと思われます。


このウイルスの最初の発祥地は中国ではないと言い続けている中国政府(中国共産党)がこの切手を見れば、激怒するのではないでしょうか??!!


2024年1月20日土曜日

知識の扉-18.中世ヨーロッパにおけるの医師のシンボルを知っていますか?-

中世ヨーロッパでは、尿の観察を病気の重要な診断法として広く用いられていました。


医師はすべて透明のガラス容器の検尿瓶に尿を入れて、これを明るい光にかざして尿の色・混濁・浮遊物・匂いなどを観察し、病気を診断しました。


今でもヨーロッパの美術館や寺院には、この時代の医師の姿を描いた絵画や彫刻が数多く残されています。


中世の医師のシンボルこそがこの検尿瓶だったのです。


現在でも尿中の蛋白や糖などを調べ、様々な病気やその兆候を知るために尿検査は行われています。


1816年、フランスの医師ルネ・ラネンネック(1781~1826)はノートを丸めて女性の患者の胸にあて、聴診法を試みたところ心音を明瞭に聴くことができ驚き、そこでボール紙を丸めて糸で縛り、ニカワを塗って固めて作りそれをステトスコープ(Stetoscope:聴胸器)と命名しました。


1819年に「間接聴診法」という新たな専門用語を生み出し聴診器による聴診法が確立され、その結果検尿瓶から聴診器が内科医のシンボルとなります。


切手は1982年オーストリア発行の「第5回ヨーロッパ泌尿器学会会議」で、検尿瓶に取った尿をかざして観察するペルシアの名医アビケンナ(980~1037)の姿が描かれています。




切手は2005年ポーランド発行の「ポーランド医師会創立200年記念切手」で、白衣のポレケットに収められた聴診器が描かれています。




2024年1月18日木曜日

一番切手-23.世界自閉症啓発デーを描いた世界最初の切手-

自閉症とは、コミュニケーションが苦手、興味・行動の強いこだわり、相互的な対人関係の障害などを特徴とする発達障害で、 1歳~3歳頃までには、いずれかの特徴が現れるとされています。


これらの特徴が原因で社会生活が困難になっている状態を自閉症と定義しています。


女児より、男児に多く見られ傾向があります。


世界的には2170万人存在すると推定されています。


現在日本国内には推定36万人の自閉症者が存在するとされています。


一般に自閉症といわれる状態をアメリカ精神医学会の診断統計マニュアルの第4版(DSM-IV)とやWHOの国際疾病分類の診断基準ICD第10版(ICD-10)では、広汎性発達障害という表現でしめされ、DSMの第5版(DSM-5)では自閉症スペクトラム障害/自閉スペクトラム症と表現されています。


厳密には自閉症研究の成果により微妙な違いこそありますが、自閉症と同じ意味と考えられて、現在ではは自閉症スペクトラム障害という言い方が一般的になってきています。


毎年4月2日は、2007年12月18日国連が制定した「世界自閉症啓発デー(World Autism Awareness Day)」です。


世界各国で自閉症をはじめとする発達障がいへの理解を深めていくための取組を実施します。


切手は2017年クロアチア発行の「自閉症切手」で、独自の世界観を持つ自閉症の子供が描かれています。




切手は2022年スリランカ発行の「世界自閉症啓発デー切手」で、人の頭のシルエットとパズルと地球を描き自閉症の啓発を描いています。 





2024年1月16日火曜日

切手に見る医学と植物-9.リンゴ-

リンゴの種には、"青酸配糖体"と呼ばれる物質のひとつの"アミグダリン"が含まれていて、腸内細菌によってシアン化物に変わり、人体には有害です。


このシアン化物は、人を死に至らしめますが、リンゴ1個分の種では、少し気分が悪くなる程度のシアン化物さえも生成されませんので安心してください。


リンゴの種は、ハードシードコーティングによって毒素から保護されていますから、リンゴの種子を丸ごと食べてもその殆どが元の種の状態で消化器系を通過します。


しかし、種子を噛み潰すと腸内細菌によってシアン化物に変わり人体には有害となりますが、リンゴ種の毒素の量は、体が簡単に無害化できるほど少量です。


ヒトを殺すにはリンゴおよそ18個の種を噛み砕いて食べる必要があるので、現実このようなことは起こり得ないと思います。


リンゴを食べていて数個の種を食べてしまっても体に害を与えることはありませんので、安心して美味しいリンゴを堪能してください。


【おまけ】


リンゴ芯や種は犬にとってとても危険な物ですから、ワンちゃんにはくれぐれも種と芯を与えないように注意してください。


リンゴの実自体を上げることは全く問題ありません。


切手は1975年日本発行の「リンゴ100年記念切手」で、真ん中に赤いリンゴの実が、そして周囲にリンゴの木のシルエットが描かれている。





切手は1998年オーランド諸島発行の「オーランド諸島の栽培植物 - リンゴ切手」で、リンゴの断面、リンゴの花と果実と収穫の様子描かれています。







切手は2014年ポーランド発行の「ポーランドの地域産品小型シート」で、リンゴが描かれています。




切手は2011年ハンガリー発行の「フルーツ切手」の中の一枚で、リンゴの実とリンゴの花が描かれています。




2024年1月13日土曜日

医学切手徒然草-4.AB型とO型の両親からAB型の子供は出来るの?-

ABO式血液型は、メンデルの遺伝の法則に従って遺伝しますので、 AB型とO型の両親からはA型とB型の子供しか出来ません。


しかし、これにも例外があり、AB型とO型の両親からAB型の子供が出来ることがあります。


A型遺伝子とB型遺伝子が同じ染色体に乗って遺伝することから、特殊な遺伝形式を取ります。


この特殊な遺伝形式は、(A2B3/O)と表現します。


AB型(A2B3/O)とO型(O)の両親から、遺伝子型(A2B3/O)となり、AB型の子供が出来ます。

この場合のAB型は本来のAB型よりA型抗原とB型抗原が弱い性質を持っています。


AB型(A2B3/O)とO型(O)の両親から、出来たAB型はA2B3型、A1B3型あるいはA2B型と呼びます。


また、この遺伝子型は(A2B3)と表現します。


普通のAB型の遺伝子は(AB)と表現します


このような特殊な遺伝をする血液型をcisAB(シスAB)と呼びます。


そして、本来のAB型をtransAB(トランスAB)と呼びます。


このcisAB(シスAB)の発現頻度は0.0012%と非常に稀です。


cisAB(シスAB)は、本来のメンデルの遺伝形式と異なるために、親子鑑定に大きな影響 を与えたり、産婦人科で新生児の取り違え騒動に発展することがあります。


このcisAB(シスAB)は1966年に大阪府赤十字血液センターの山口英夫博士が、AB型と O型の両親から、3人の子供全てがAB型という家系を始めて発見しました。


その後調査研究が続けられて、このcisAB(シスAB)は、徳島県と石川県で多く見られる ことも分かりました。


医学切手の鉄人も血液型の研究の中で、cisAB(シスAB)を数家系発見しています。


cisAB(シスAB)は、特殊な遺伝形式で、発現するだけで、病気などで発現することはありません。


メンデルの遺伝の法則にも例外があるケースを紹介しました。


切手は2000年オーストリア発行の「ABO式血液型発見100年記念切手」で、ABO式血液型をデザイ化しています。




切手は2002年アルバニア発行の、「献血の日記念切手」で、A、B、O型の血液型の人が描かれています。





切手は1974年日本発行の、「国際赤十字献血年記念切手」で、ローマ字の数は日本人の血液型の比率(A型40%・O型30%・B型20%・AB型10%)を表現しています。





2024年1月11日木曜日

知識の扉-16.指紋制度の導入に寄与した人物-

イギリス人のヘンリー・フォールズ (1843~1930)は、宣教師として1874年に来日し、キリスト教の布教の傍ら健康社(現在の聖路加国際病院)という医院を開設し医療活動に従事した医師で、彼は日本人が拇印を利用して個人の同一性確認を行っている事に興味を持ち研究を続け、1880年にイギリスの科学雑誌ネイチャーに、指紋に関する研究論文を発表しました。


このフォールズの研究発表がきっかけとなり、世界各国が指紋制度を導入することになります。


わが国警察における指紋制度は、警視庁において、1911(明治44)年4月1日に刑事課を新設し、課内に捜査、鑑識及び庶務係を設け、同時に指紋取扱規程を制定し、鑑識係において「指紋に関する事務」を担当することとなったのが最初です。


したがって2011年4月1日は、日本の警察指紋制度発足100周年にあたります。


切手は2011年発行の「日本警察指紋制度100周年オリジナルフレーム切手」で、シート面上部にはヘンリー・フォールズの写真とともに彼の功績と指紋捜査の説明が記載され、切手にはてい状紋・渦状紋・弓状紋の3種の指紋、フォールズの肖像、指紋採取が描かれています。




2024年1月9日火曜日

一番切手-22.梅毒感染予防を描いた世界最初の切手-

梅毒はペニシリンの登場によって一時期撲滅されるかと思われていましたが、ここ数年来世界的に流行していて、日本においても2023年は過去10年間で最多の梅毒す患者数が報告されています。

一度滅びかかった梅毒が再流行しているのです。


1930年代のフランスでも梅毒は、性病の一つとして流行していました。


この対策のために公衆絵衛生運動切手と銘打って、梅毒感染対策切手を発行したわけです。


切手は1937年フランス発行の「公衆絵衛生運動付加金付切手」と歌われていますが、梅毒感染予防切手で、女神が将来のフランスの国民を慈しむデザインで、梅毒感染予防を呼びかけています。

この切手は、梅毒感染予防切手として世界初のものです。




よもやま話-1.アテナとオリーブ-

ギリシャ神話において、女神アテナとオリーブは密接な関係があります。 アテナは、知恵、芸術、技術、戦争などを司る女神で彼女ゼウスの頭から生まれたとも、父親であるゼウスがティターン族の智慧の女神メティスを飲み込んだ際に、メティスの頭から生まれたともいわれています。 オリーブは、地中海...