ブログ内検索

2023年6月28日水曜日

切手に見る知識の扉-2.イチジクは花が咲かないの?-

イチジクは漢字で書くと「無花果」と書き花のない植物のように思われますが、花はありますし種もあります。


イチジクを縦半分に割って断面を観察してみますと、一番外側には白い果肉の層があり、中央にいくにつれ赤くなり、その先にあるプチプチした粒が確認されますが、このプチプチした粒がイチジクの種なんです。


我々が果実として食べる部分は花嚢と呼ばれ、6月頃に花嚢の中で無数の白い小花を咲かせますが花が外側から見えない事からこの「無花果」の漢字があてられたようです。


外国のイチジクの品種には種をつけるものがありますが、日本のイチジクは種をつけません。


果実に含まれる酵素フィシンは、消化促進作用があり、胃もたれや二日酔い防止に効果があるとされています。


このフィシンは輸血検査に利用されています。


いちじくには雄花と雌花があり、人間が食べるのは雌花です。


雄花は、イチジクコバチのメスが卵を生むために使われます。


メスのイチジクコバチは、とても細い通路を通っていちじくの雄花に入り込みます。


通路はとても細いので、途中で羽と触角が折れてしまうため、1度中に入ると抜け出ることはできず、産卵した後死んでしまう。


卵からは、オス・メス両方のイチジクコバチが生まれるが、オスのイチジクコバチには羽がありません。


彼らの目的は、同じ雄花の中にいるメスのイチジクコバチと交尾し、外へと抜けるトンネルを掘ることだからで、オスが作ったトンネルを通ってメスのイチジクコバチが花粉を外へと運びます。


一方、雌花には卵を産むスペースはほとんどないことから、間違って雌花に入ったイチジクコバチのメスは、卵を埋めないまま花の内側で死んでしまいます。


イチジクコバチには申し訳ないけれど、これも必要なプロセスなのですなぜなら、そうすることで、花粉が雌花へと運ばれ、いちじくができるからなんです。


ここまで読むと「私たちはいちじくを食べながら、死んだハチまで食べているの?」と気になりますねぇ!!

安心してください!!いちじくにはフィシンと呼ばれる酵素があり、イチジクコバチをタンパク質に変えてしまいますから人間が口にするいちじくには、イチジクコバチは入っていいません。

日本にはイチジクコバチはすんでいないし、日本で栽培されているイチジクの品種はイチジクコバチが花粉を運ばなくても、花粉がついたのと同じように実がなる性質(単為結果性)を持っているからです。


ですから「イチジクを割ったらイチジクコバチがいた」なんてことは日本ではありえないから、安心して食べることができるのです。


切手は1993年ブルガリア発行の「フルーツ切手」の中の一枚で、枝になったイチジクとイチジクの断面図が描かれています。





切手は2017年ポルトガル発行の「ポルトガルの果物連刷切手」の中の一枚で、熟したイチジクとその断面図が描かれています。






切手は2007年ヨルダン発行の「フルーツ切手」の中の一枚で、熟したイチジクとその断面図が描かれています。





0 件のコメント:

コメントを投稿

よもやま話-1.アテナとオリーブ-

ギリシャ神話において、女神アテナとオリーブは密接な関係があります。 アテナは、知恵、芸術、技術、戦争などを司る女神で彼女ゼウスの頭から生まれたとも、父親であるゼウスがティターン族の智慧の女神メティスを飲み込んだ際に、メティスの頭から生まれたともいわれています。 オリーブは、地中海...