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2024年2月18日日曜日

よもやま話-1.アテナとオリーブ-

ギリシャ神話において、女神アテナとオリーブは密接な関係があります。


アテナは、知恵、芸術、技術、戦争などを司る女神で彼女ゼウスの頭から生まれたとも、父親であるゼウスがティターン族の智慧の女神メティスを飲み込んだ際に、メティスの頭から生まれたともいわれています。


オリーブは、地中海沿岸で古くから栽培されている果樹で、オリーブの木は、常緑樹で、葉は光沢があり、冬でも落葉しません。


オリーブの実は、油分を多く含み、食用や化粧品などに用いられます。


アテナとオリーブの物語は、古代ギリシャの都市国家アテネの成立に関するものです。


アテネとポセイドンは、アテネの支配権をめぐって争いました。


大神ゼウスは、どちらがより人々にとって有益な贈り物をするかで、勝者を決めることにしました。


ポセイドンは、海から一頭の馬を召喚しました、この馬は強くて美しく戦争に役立ちます。


一方、アテナは、オリーブの木を地面に植えました、オリーブの木は平和と繁栄の象徴です。


大神ゼウスは、オリーブの木をより有益な贈り物と判断し、アテナにアテネの支配権を認めました。


アテネは、オリーブの木を街のシンボルとし、オリーブの木の枝を盾や兜に飾り、オリーブの葉は、平和と繁栄の象徴として、古代ギリシャから現代に至るまで、世界中で用いられています。


アテナとオリーブの物語は、古代ギリシャの人々にとって、知恵と平和が最も重要な価値であることを示しています。


切手は2023年ボスニアヘルツェゴビナ、クロアチア独立国併合発行の「神話と植物小型シート」で、切手にはオリーブの木、シート面には女神アテナが描かれています。




2024年2月15日木曜日

医学切手徒然草-8.血液循環の話-2.血液循環系の発見-

現代人体解剖の創始者と称されるアンドレアス・ヴェサリウス(1514~1564)は、1538年に『六枚の解剖図表』を出版し、その中に詳細な血管図を収録しています。


その5年後の1543年にかの有名な『ファブリカ(人体の構造に関する7つの本)』を出版し、その中で循環系の構造を記載し、全身を流れる血液の役割についての解剖学的基礎を確立しました。


更に1555年には、『ファブリカ』の第2版を出版し、心臓の小孔の否定と右心室から左心室への血液の流れを否定しています。


ベサリウスの偉大な業績も、当時金科玉条とされていたガレーノスの血液循環を全面的に否定することから、保守的な学者から猛烈な非難を受けて、以後20年間も認められませんでした。


切手は1942年ベルギー発行の「科学者切手」の中の一枚で、ベサリウスの肖像が描かれています。




切手は1989年ハンガリー発行の「医学の先駆者切手」で、ベサリウスの肖像と共に右上肢の解剖図が描かれています。





切手は1993年ベルギー発行の「ファブリカ誕生450年記念切手」で、ベサリウスの肖像と共に解剖の場面が描かれています。

 




2024年2月12日月曜日

一番切手-27.ウイルス性肝炎予防プログラムを描いた世界最初の切手-

 ウイルス性肝炎とは、肝臓がウイルスに感染することで炎症が起こる疾患です。


ウイルスの種類に応じて、A型、B型、C型、D型、E型、非A~E型、その他(サイトメガロウイルスやEBウイルスなど)、の7つに分類されます。


以下に代表的な肝炎ウイルスを簡単に解説しておきます。


1.A型肝炎ウイルス・E型肝炎ウイルス


A型肝炎ウイルスとE型肝炎ウイルスは共通している点が多く、どちらも糞口感染で感染が起こり急性肝炎として発症します。


糞口感染とは肝炎ウイルスに汚染された食べ物や水・氷を口から摂取することで感染することです。


A型肝炎であれば魚介類(カキ)、E型肝炎であればイノシシなどが特徴的な感染経路として知られています。


2.B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルス・D型肝炎ウイルス


B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルスは血液や体液などで感染し、慢性化しやすいという特徴があります。


これらのウイルスは以前は輸血によって感染していましたが、血液製剤の肝炎検査が的確に行われるようになり、輸血による感染は極めて稀になっています。


ウイルスは体液中にも分泌されることから、性行為感染症としての感染成立が増加してきていることが問題になってきています。


D型肝炎ウイルスは血液を介して感染しますが、B型肝炎ウイルスと同時感染することが知られています。


この場合は急性肝炎の症状が重篤化するリスクが高まります。


切手は2018年インド発行の「ウイルス性肝炎コントロールプログラム切手」で、ウイルス性肝炎予防と治療を促進する政府主導のプムグラムを表しています。


肝臓を両手で支えて守ること、注射器と輸血用血液・水道水(清潔な水)・一粒のしずくで献血を表現しています。


ウイルス性肝炎予防プログラムを描いた最初の切手です。





2024年2月10日土曜日

知識の扉-21.血液型によって蚊に刺されやすい人と刺されにくい人があるの??-

よく蚊に刺されやすい血液型と、刺されにくい血液型があるといわれますが、これは科学的な根拠があるのでしょうか??


巷では、O型の人は刺されやすく、A型の人は刺されにくいと言われているものの、これに関して科学的に検証した事例は世界的に見てもほとんど存在しませんでしたが、富山医科薬科大学(現、富山大学)で研究が行われ、論文が公表されました。


しかし、血液型による性格分類でされる批判と同様に、数ある血液型の中で特別ABO式血液型だけを基準にする科学的根拠は一切なく、蚊の吸血行動に影響を与えそうな血液型由来の物質も現在のところ知られていません。


これらのことから、刺されやすい血液型と、刺されにくい血液型があるという説は、科学的な根拠はありません。


蚊は二酸化炭素の密度が高い所、周りより温度が高い所へ向かう習性があります。


体温、におい、周りとの二酸化炭素の密度の違いなどで蚊は血を吸う相手を探します、そのため体温が高く、呼吸回数が多い、つまり新陳代謝が激しい人は特に刺されやすくなるのです。


普段は刺されにくい人でも、新陳代謝量が増える運動をした後や、ビールを飲んだ後は刺されやすくなります。


蚊が血液型物質の違いを感覚器で感じとって、吸血選択しているのではないと考えられています。


更に血液型物質は不揮発性物質の糖鎖であることからも、蚊が皮膚に降着する前に感知はできません。


切手は1960年インドネシア発行の「世界保健デー切手」で、ハマダラカが描かれています。




切手は1963年ドバイ発行の「マラリアとの闘い切手」の中の一枚で、沼地から発生するハマダラカが描かれています。





※ハマダラカは、止まった際に口吻、胸、腹部が一直線となり、地面に対して鋭角に止まり、かつ後肢を地面につけずに高く挙げる特徴のある止まり方をします※


切手は1983年ガボン発行の「有害昆虫切手」の中の一枚で、人の腕に止まって吸血しているネッタイシマカが描かれています。 




2024年2月8日木曜日

切手に見る医学と植物-11.国際果実野菜年-

2021年を「国際果実野菜年(International Year of Fruits and Vegetables:IYFV2021)」とすることが2019年12月に開催された第74回国連総会にて採択されました。


その結果2021年は、果実と野菜を摂ることによってもたらされる栄養上・健康上の利点について世界的に認識を深めることを目的に国連が定めた国際果実野菜年(International Year of Fruits and Vegetables:IYFV2021)となりました。


国連は、果実と野菜が人間の栄養、食料安全保障、健康、そして持続可能な開発目標(SDGs)に果たす重要な役割について、意識啓発を行うための貴重な機会としています。


果実と野菜とは、生の状態続きあり、実は野生から収穫した植物の食用部分(種子を得る部分、花、芽、葉、茎、新芽、根術)となります。


2021年モロッコ発行の「国際果実野菜年記念切手」で、地球の周りに各種果実と野菜が描かれています。





切手は2021年トンガ発行の「国際果実野菜年セルフのり連刷切手」で、上から順にスイカ、パッションフルーツ、パイナップル、バナナ、カボチャ、ココナツが描かれています。





切手は2021年イギリス王室属領オルダニー島発行の「国際果実野菜年切手8枚貼りの初日カバー」で、上部左からイチゴ、ケープグーズベリー(フルーツほおずき)、マメ、トマト、下部左からオレンジ、マルメロ(セイヨウカリン)、ニンジン、タマネギとニンニクが描かれています。

切手を貼った台紙にはリンゴ、初日スタンプにはブドウとリンゴなどの果物が描かれています。





 

2024年2月6日火曜日

一番切手-26.HPVワクチンを描いた世界最初の切手-

ヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus:HPV)は、性経験のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。


性交渉を経験する年頃になれば、男女を問わず多くの人々がHPVに感染し、そのうち一部の女性が将来高度前がん病変や子宮頸がんを発症することになります。


HPVは子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がんなどのがんや尖圭コンジローマ等多くの病気の発生に関わっています。


子宮頸がんは年間約10,000人が罹患し、約2,800人が死亡しており、患者数・死亡者数とも近年漸増傾向にあります。


特に、他の年齢層に比較して50歳未満の若い世代での罹患の増加が問題となっています。


発がん性HPVの中で、とくにHPV16型、HPV18型は特に前がん病変や子宮頸がんへ進行する頻度が高く、スピードも速いと言われていますが、HPV16型、HPV18型の感染は、HPVワクチンによって防ぐことができます。


HPV感染症を防ぐワクチンとしてのHPVワクチンは、小学校6年~高校1年相当の女子を対象に、定期接種が行われています。


しかし、HPVワクチンは接種により、注射部位の一時的な痛み・腫れなどの局所症状は約8割の方に生じるとされています。


また、注射時の痛みや不安のために失神(迷走神経反射)を起こした事例が報告されていますが、これについては接種直後30分程度安静にすることで対応が可能です。


2013年4月に定期接種化されたHPVワクチンは、子宮頸がん予防の効果が期待される一方、接種後に広範な慢性の疼痛などの多様な症状がみられたため、2ケ月後の2013年6月に積極的勧奨の差し控えが実施され現在に至っています。


先進国ではHPVワクチンの接種が推奨されています


現在、世界の80カ国以上でHPVワクチン接種が進められていますが、先進国では既に9価ワクチンが主流となっています。


世界保健機関(WHO)も、9価ワクチンも含むこれまでの接種で「安全上の問題は見つかっていない」としてHPVワクチン接種を推奨しています。


子宮頸がんの90%以上を防ぐとして先進国では主流となっていましたが、 2020年7月21日日本においても9価ワクチンが認められたことからやっと先進国の仲間入りができたことになります。


切手は2020年オーストラリア発行の「医療の革新切手3」で、背景にはHPVと若い女性のシルエットそして注射器とHPVワクチンが描かれています。


HPVワクチンを描いた最初の切手です。


 




2024年2月4日日曜日

知識の扉-19.ライオンズクラブと『白い杖』の関係を知っていますか?-

みなさんは日常の生活の中で、目の不自由な人が使用されている『白い杖』を見かけたことは必ずあると思います。


この白杖(はくじょう)は、1930年にイリノイ州ペオリアのライオンズクラブ会員ジョージ・A・ボーナムが発明しました。


そして今、世界中の視覚障害者がこの『白い杖』を使用しています。


ライオンズクラブと『白い杖』との関係は、1925年第9回ライオンズクラブ国際大会においてゲストスピーカーのヘレン・ケラー女史(1880~1968)が、「ライオンズよ!闇を開く聖戦の騎士たれ」と呼びかけて以来、盲人を助け、眼を守る運動はライオンズクラブの奉仕活動の大きな柱になっています。


現在、アメリカでは10月15日が「白い杖安全の日」とされて視覚障害者に対する啓蒙活動が行われます。


ライオンズマークの意味は、会員とクラブが、ともに一つになって進むことを意味しています。


円の中にある大きなLは、法(Law)、自由(Liberty)、労働(Labor)、忠誠(Loyalty)、愛(Love)、生命(Life)、ライオン(Lion)、を象徴しています。


ライオンの顔は2方向を向いていますが、これは非利己的な奉仕をあらゆる方向に向かって行うことを意味し、かつ、1頭は過去の輝かしいライオンズの歴史を見守っており、他の1頭は前途遼遠たるライオンズの未来を見つめています。


切手は1980年スペイン発行の「ヘレン・ケラー切手」で、手話とともに彼女の肖像が描かれています。




切手は1964年オランダ発行の「サマースタンプ切手」の中の一枚で、白杖を持ち盲導犬に誘導される眼の不自由な人が描かれています。




切手は1967年オートボルタ発行の「国際ライオンズクラブ50年記念切手」で、ライオンズクラブのマークと共に、眼の不自由な人を導く光景が描かれています。




切手は1969年オートボルタ発行の「第12回ライオンズクラブ国際大会」で、眼の中に描かれたライオンズクラブのマークと共に、眼の不自由な人が白い杖を持っている光景が描かれています。




2024年2月1日木曜日

医学切手徒然草-7.血液循環の話-1.ガレーノスの血液循環説-

今回から数回に分けて血液循環について取り上げていきますのでお付き合い下さい。

ガレノス(Galen:130~201?)は、古代ローマ時代に活躍したギリシャの医師で、血液循環に関する独自の理論を提唱しました。


彼の理論は、おおよそ2世紀から17世紀までの間、医学界で広く受け入れられていました。


ガレノスの血液循環に関する理論は、動脈と静脈が血液を輸送する役割を果たすというものでした。


彼は、心臓が体内の血液を生成し、動脈を通じて全身に送り出すと考えそして、血液は体内の組織で消費され、静脈を通じて心臓に戻ると考えました。


この循環プロセスは、彼が「動脈血」と「静脈血」と呼んだ2つの異なる血液の存在を前提としていました。


ガレノスの理論は、当時の解剖学的な知識に基づいており、彼の時代では解剖学的な研究が限定的であったため、実際の循環プロセスを正確に理解することはできませんでした。


のため、彼の理論は後の時代において疑問視され、16世紀にウィリアム・ハーベーによって近代的な血液循環の理論が提唱されるまで主流の考え方となりました。


この誤った血液循環説は、1628年ウイリアム・ハーベーによって血液循環説が発表されるまで、金科玉条の如く、千数百年にわたって支持されてきました。、


したがって、ガレノスの血液循環に関する理論は、その時代の医学の範囲内で有効なものでしたが、現代の血液循環の理解とは異なる点があります。


切手は1966年イエーメン・アラブ共和国発行の「WHO庁舎落成記念切手」で、ガレーノスの肖像が描かれています。




切手は1996年ギリシャ発行の「国際医学オリンピック切手」の中の一枚で、ガレーノスが描かれています。





2024年1月30日火曜日

一番切手-25.トイレットペーパーに印刷された世界最初の切手-

トイレットペーパーを使った珍しいコロナ切手を紹介します。


2020年10月オーストリアからトイレットペーパーを使用した「コロナ切手」が発行されました。


この国でも新型コロナウイルス流行によるトイレットペーパー不足騒ぎが起きたそうです。


本物のトイレットペーパーに印刷されていますが、このままでは破れやすいのでエンボス加工紙3枚重ねに印刷されラミネート紙が裏打ちされています。


図案としては、ソーシャルディスタンスを1m確保する意味から仔象の体長で1mが描かれていますが、中々理解しにくい図案ですねぇ。


この仔象は人と人の距離1mを表現する"赤ちゃんゾウ"で、その上に大きさを比較する新型コロナウイルス・小さな虫・ハエ・ネズミが描かれています。 




2024年1月28日日曜日

医学切手徒然草-6.癌についてのアラカルト-

日本語でがんとは、「癌」と書きます。


これは、悪性腫瘍のなかでも特に上皮由来の「癌腫(上皮腫)」のことを意味しています。


英語ではがんのことをキャンサー(Cancer)またはカルチノーマ(Carcinoma)と呼びます。


ドイツ語ではがんのことをクレブス(Krebs)と呼びます。


キャンサー、カルチノーマ、クレブスの意味は、いずれも"カニ"の意味で、ギリシア語のカニを表わすカルチノウスが語源です。


これは、乳がんをよく観察するとあたかもカニが手足を広げたようなかたいしこりが、表面から触れるようになることを表現したものと言われています。


「癌」を表す「cancer」は、かに座 (cancer) と同じ単語です。


切手は1965年ニジェール発行の「がんとの戦い切手」で、がんに見立てられたカニを握りつぶすことによってがんとの戦いを表現しています。



切手は1976年オーストリア発行の「がん早期発見切手」で、恐ろしい形相をしたカニをがんに見立てています。




切手は1974年オランダ発行の「がんとの戦い切手」で、がんに見立てたカニをに治療を表す剣が突き立てられています。





切手は1979年パキスタン発行の「がんとの戦い切手」でがんに見立てた巨大なカニと戦う戦士を描くことによってがんとの戦いを表現しています。




よもやま話-1.アテナとオリーブ-

ギリシャ神話において、女神アテナとオリーブは密接な関係があります。 アテナは、知恵、芸術、技術、戦争などを司る女神で彼女ゼウスの頭から生まれたとも、父親であるゼウスがティターン族の智慧の女神メティスを飲み込んだ際に、メティスの頭から生まれたともいわれています。 オリーブは、地中海...