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2024年2月8日木曜日

切手に見る医学と植物-11.国際果実野菜年-

2021年を「国際果実野菜年(International Year of Fruits and Vegetables:IYFV2021)」とすることが2019年12月に開催された第74回国連総会にて採択されました。


その結果2021年は、果実と野菜を摂ることによってもたらされる栄養上・健康上の利点について世界的に認識を深めることを目的に国連が定めた国際果実野菜年(International Year of Fruits and Vegetables:IYFV2021)となりました。


国連は、果実と野菜が人間の栄養、食料安全保障、健康、そして持続可能な開発目標(SDGs)に果たす重要な役割について、意識啓発を行うための貴重な機会としています。


果実と野菜とは、生の状態続きあり、実は野生から収穫した植物の食用部分(種子を得る部分、花、芽、葉、茎、新芽、根術)となります。


2021年モロッコ発行の「国際果実野菜年記念切手」で、地球の周りに各種果実と野菜が描かれています。





切手は2021年トンガ発行の「国際果実野菜年セルフのり連刷切手」で、上から順にスイカ、パッションフルーツ、パイナップル、バナナ、カボチャ、ココナツが描かれています。





切手は2021年イギリス王室属領オルダニー島発行の「国際果実野菜年切手8枚貼りの初日カバー」で、上部左からイチゴ、ケープグーズベリー(フルーツほおずき)、マメ、トマト、下部左からオレンジ、マルメロ(セイヨウカリン)、ニンジン、タマネギとニンニクが描かれています。

切手を貼った台紙にはリンゴ、初日スタンプにはブドウとリンゴなどの果物が描かれています。





 

2024年2月6日火曜日

一番切手-26.HPVワクチンを描いた世界最初の切手-

ヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus:HPV)は、性経験のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。


性交渉を経験する年頃になれば、男女を問わず多くの人々がHPVに感染し、そのうち一部の女性が将来高度前がん病変や子宮頸がんを発症することになります。


HPVは子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がんなどのがんや尖圭コンジローマ等多くの病気の発生に関わっています。


子宮頸がんは年間約10,000人が罹患し、約2,800人が死亡しており、患者数・死亡者数とも近年漸増傾向にあります。


特に、他の年齢層に比較して50歳未満の若い世代での罹患の増加が問題となっています。


発がん性HPVの中で、とくにHPV16型、HPV18型は特に前がん病変や子宮頸がんへ進行する頻度が高く、スピードも速いと言われていますが、HPV16型、HPV18型の感染は、HPVワクチンによって防ぐことができます。


HPV感染症を防ぐワクチンとしてのHPVワクチンは、小学校6年~高校1年相当の女子を対象に、定期接種が行われています。


しかし、HPVワクチンは接種により、注射部位の一時的な痛み・腫れなどの局所症状は約8割の方に生じるとされています。


また、注射時の痛みや不安のために失神(迷走神経反射)を起こした事例が報告されていますが、これについては接種直後30分程度安静にすることで対応が可能です。


2013年4月に定期接種化されたHPVワクチンは、子宮頸がん予防の効果が期待される一方、接種後に広範な慢性の疼痛などの多様な症状がみられたため、2ケ月後の2013年6月に積極的勧奨の差し控えが実施され現在に至っています。


先進国ではHPVワクチンの接種が推奨されています


現在、世界の80カ国以上でHPVワクチン接種が進められていますが、先進国では既に9価ワクチンが主流となっています。


世界保健機関(WHO)も、9価ワクチンも含むこれまでの接種で「安全上の問題は見つかっていない」としてHPVワクチン接種を推奨しています。


子宮頸がんの90%以上を防ぐとして先進国では主流となっていましたが、 2020年7月21日日本においても9価ワクチンが認められたことからやっと先進国の仲間入りができたことになります。


切手は2020年オーストラリア発行の「医療の革新切手3」で、背景にはHPVと若い女性のシルエットそして注射器とHPVワクチンが描かれています。


HPVワクチンを描いた最初の切手です。


 




2024年2月4日日曜日

知識の扉-19.ライオンズクラブと『白い杖』の関係を知っていますか?-

みなさんは日常の生活の中で、目の不自由な人が使用されている『白い杖』を見かけたことは必ずあると思います。


この白杖(はくじょう)は、1930年にイリノイ州ペオリアのライオンズクラブ会員ジョージ・A・ボーナムが発明しました。


そして今、世界中の視覚障害者がこの『白い杖』を使用しています。


ライオンズクラブと『白い杖』との関係は、1925年第9回ライオンズクラブ国際大会においてゲストスピーカーのヘレン・ケラー女史(1880~1968)が、「ライオンズよ!闇を開く聖戦の騎士たれ」と呼びかけて以来、盲人を助け、眼を守る運動はライオンズクラブの奉仕活動の大きな柱になっています。


現在、アメリカでは10月15日が「白い杖安全の日」とされて視覚障害者に対する啓蒙活動が行われます。


ライオンズマークの意味は、会員とクラブが、ともに一つになって進むことを意味しています。


円の中にある大きなLは、法(Law)、自由(Liberty)、労働(Labor)、忠誠(Loyalty)、愛(Love)、生命(Life)、ライオン(Lion)、を象徴しています。


ライオンの顔は2方向を向いていますが、これは非利己的な奉仕をあらゆる方向に向かって行うことを意味し、かつ、1頭は過去の輝かしいライオンズの歴史を見守っており、他の1頭は前途遼遠たるライオンズの未来を見つめています。


切手は1980年スペイン発行の「ヘレン・ケラー切手」で、手話とともに彼女の肖像が描かれています。




切手は1964年オランダ発行の「サマースタンプ切手」の中の一枚で、白杖を持ち盲導犬に誘導される眼の不自由な人が描かれています。




切手は1967年オートボルタ発行の「国際ライオンズクラブ50年記念切手」で、ライオンズクラブのマークと共に、眼の不自由な人を導く光景が描かれています。




切手は1969年オートボルタ発行の「第12回ライオンズクラブ国際大会」で、眼の中に描かれたライオンズクラブのマークと共に、眼の不自由な人が白い杖を持っている光景が描かれています。




2024年2月1日木曜日

医学切手徒然草-7.血液循環の話-1.ガレーノスの血液循環説-

今回から数回に分けて血液循環について取り上げていきますのでお付き合い下さい。

ガレノス(Galen:130~201?)は、古代ローマ時代に活躍したギリシャの医師で、血液循環に関する独自の理論を提唱しました。


彼の理論は、おおよそ2世紀から17世紀までの間、医学界で広く受け入れられていました。


ガレノスの血液循環に関する理論は、動脈と静脈が血液を輸送する役割を果たすというものでした。


彼は、心臓が体内の血液を生成し、動脈を通じて全身に送り出すと考えそして、血液は体内の組織で消費され、静脈を通じて心臓に戻ると考えました。


この循環プロセスは、彼が「動脈血」と「静脈血」と呼んだ2つの異なる血液の存在を前提としていました。


ガレノスの理論は、当時の解剖学的な知識に基づいており、彼の時代では解剖学的な研究が限定的であったため、実際の循環プロセスを正確に理解することはできませんでした。


のため、彼の理論は後の時代において疑問視され、16世紀にウィリアム・ハーベーによって近代的な血液循環の理論が提唱されるまで主流の考え方となりました。


この誤った血液循環説は、1628年ウイリアム・ハーベーによって血液循環説が発表されるまで、金科玉条の如く、千数百年にわたって支持されてきました。、


したがって、ガレノスの血液循環に関する理論は、その時代の医学の範囲内で有効なものでしたが、現代の血液循環の理解とは異なる点があります。


切手は1966年イエーメン・アラブ共和国発行の「WHO庁舎落成記念切手」で、ガレーノスの肖像が描かれています。




切手は1996年ギリシャ発行の「国際医学オリンピック切手」の中の一枚で、ガレーノスが描かれています。





2024年1月30日火曜日

一番切手-25.トイレットペーパーに印刷された世界最初の切手-

トイレットペーパーを使った珍しいコロナ切手を紹介します。


2020年10月オーストリアからトイレットペーパーを使用した「コロナ切手」が発行されました。


この国でも新型コロナウイルス流行によるトイレットペーパー不足騒ぎが起きたそうです。


本物のトイレットペーパーに印刷されていますが、このままでは破れやすいのでエンボス加工紙3枚重ねに印刷されラミネート紙が裏打ちされています。


図案としては、ソーシャルディスタンスを1m確保する意味から仔象の体長で1mが描かれていますが、中々理解しにくい図案ですねぇ。


この仔象は人と人の距離1mを表現する"赤ちゃんゾウ"で、その上に大きさを比較する新型コロナウイルス・小さな虫・ハエ・ネズミが描かれています。 




2024年1月28日日曜日

医学切手徒然草-6.癌についてのアラカルト-

日本語でがんとは、「癌」と書きます。


これは、悪性腫瘍のなかでも特に上皮由来の「癌腫(上皮腫)」のことを意味しています。


英語ではがんのことをキャンサー(Cancer)またはカルチノーマ(Carcinoma)と呼びます。


ドイツ語ではがんのことをクレブス(Krebs)と呼びます。


キャンサー、カルチノーマ、クレブスの意味は、いずれも"カニ"の意味で、ギリシア語のカニを表わすカルチノウスが語源です。


これは、乳がんをよく観察するとあたかもカニが手足を広げたようなかたいしこりが、表面から触れるようになることを表現したものと言われています。


「癌」を表す「cancer」は、かに座 (cancer) と同じ単語です。


切手は1965年ニジェール発行の「がんとの戦い切手」で、がんに見立てられたカニを握りつぶすことによってがんとの戦いを表現しています。



切手は1976年オーストリア発行の「がん早期発見切手」で、恐ろしい形相をしたカニをがんに見立てています。




切手は1974年オランダ発行の「がんとの戦い切手」で、がんに見立てたカニをに治療を表す剣が突き立てられています。





切手は1979年パキスタン発行の「がんとの戦い切手」でがんに見立てた巨大なカニと戦う戦士を描くことによってがんとの戦いを表現しています。




2024年1月26日金曜日

切手に見る医学と植物-10.ポリフェノール-

ポリフェノールとは、植物が自身を活性酸素から守るために作り出す物質で、抗酸化物質の代表で、分子内にフェノール性水酸基を複数(ポリ)もつ植物成分の総称なので、「ポリフェノール」と呼ばれておりポリフェノールは、数千種類以上もあると言われています。


ポリフェノールで代表的なものは赤ワイン、コーヒーやココアです。


ポリフェノールには、抗酸化作用があり老化を防ぐという仮設があります。


1980年代には、赤ワインのポリフェノールが良いというブームがありました。


ブドウの実・皮・種には、レスペラトロールと呼ばれるポリフェノールがあり、ブドウから作られる赤ワインが身体に良いとされました。


しかし公的研究機関によりますと、ポリフェノールの持つ抗酸化作用が、老化を防ぐというのは仮説の粋を出てていません。


要するに健康のためにどれだけの量を摂取すればよいかという厳密な量は、現時点ではわかっていません。


健康に良いからと言って赤ワインを日々多量に飲むと肝硬変などになるリスクも高まってしまいますから、適度に飲む必要があります。


切手は2001年ブルガリア発行の「ワインとワイン生産地切手」の中の一枚で、ガムザ赤ワインと製造に使われるブドウ及ババ・ヴィダ城が描かれています。



切手は2002年スペイン発行の「2002年原産地呼称のワイン切手」の中の一枚で、リオハ赤ワインと製造に使われるブドウ及ブドウ畑が描かれています。




切手は2009年サンマリノ発行の「ヨーロッパの著名なワイン切手」の中の一枚で、テッサーノ赤ワインが描かれています。




切手は2015年オーストリア発行の「オーストリアのワイン切手」の中の一枚で、カルヌントゥムの赤ワインと製造に使われるブドウ及びカルヌントゥム考古学公園が描かれています。






2024年1月24日水曜日

医学切手徒然草-5.HIVについて-

HIVとは、HIV(Human Immunodeficiency Virus:ヒューマン・ イムニュノデフィシエンシー・ ウイルス )のことで、ヒト免疫不全ウイルスと訳されています。


HIVは人の免疫細胞に感染して免疫細胞を破壊し、最終的に後天性免疫不全症候群(Acquired immune deficiency :アクワイアード ・イムニューム ・デフィシエンシー ・シンドローム(エイズ))を発症させるウイルスのことを言います。


エイズウイルスとは、新聞・テレビなどのマスメデイアでよく使用され、HIVを指す言葉と考えられていますが、医学用語ではなくマスコミ用語です。


HIVウイルスともよく表現されますが、HIVそのものでヒト免疫不全ウイルスと訳されますから、それにウイルスをつけて"ヒト免疫不全ウイルスウイルス"となってしまい、これは間違いです。


またAIDSは後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome)でHIVが免疫細胞に感染し、免疫細胞を破壊して後天的に免疫不全を起こす免疫不全症のことですから、AIDSに感染するという言葉は誤りで、HIVに感染するというのが正しい言い方です。


まとめますと、HIVは後天性免疫不全症候群を引き起こすウイルスで、AIDSとはHIVによって免疫力が低下しておきる感染症です。


切手は1994年スペイン領アンドラ発行の「ヨーロッパ 切手 1994 - 発見と発明」の中の一枚で、HIVが描かれています。



切手は1995年バハマ発行の「世界エイズデー切手」の中の一枚で、白血球の中から血液中に出ていくHIVが描かれています。



切手は1991年エチオピア発行の「世界エイズデー切手」の中の一枚で、AIDSの病気のステージが描かれています。



切手は2006年ガーナ発行の「エイズ切手」の中の一枚で、AIDSを発症してやせ細った男女が描かれています。




切手は2005年セント・キッツ島発行の「ロータリークラブ創立100年記念切手」の中の一枚で、治療を待つAIDS患者が描かれています。





2024年1月22日月曜日

一番切手-24.新型コロナウイルス発祥地を描いた世界最初の切手-



2021年サントメ・プリンシペ発行(正式な国の発行ではなくエージェント会社発行)の小型シートで、切手面には新型コロナ対策をする医療従事者と新型コロナウイルスの模式図とともにこのウイルスの発祥地が中国武漢であることがはっきり記されています。


またシート面には中国武漢の海鮮市場、新型コロナウイルスの模式図、感染者数を表すグラフととともにこのウイルスの媒介者とされているコウモリが描かれています。


2021年11月時点これだけはっきりと新型コロナの発祥地が武漢であることが描かれたものは他にはないと思われます。


このウイルスの最初の発祥地は中国ではないと言い続けている中国政府(中国共産党)がこの切手を見れば、激怒するのではないでしょうか??!!


2024年1月20日土曜日

知識の扉-18.中世ヨーロッパにおけるの医師のシンボルを知っていますか?-

中世ヨーロッパでは、尿の観察を病気の重要な診断法として広く用いられていました。


医師はすべて透明のガラス容器の検尿瓶に尿を入れて、これを明るい光にかざして尿の色・混濁・浮遊物・匂いなどを観察し、病気を診断しました。


今でもヨーロッパの美術館や寺院には、この時代の医師の姿を描いた絵画や彫刻が数多く残されています。


中世の医師のシンボルこそがこの検尿瓶だったのです。


現在でも尿中の蛋白や糖などを調べ、様々な病気やその兆候を知るために尿検査は行われています。


1816年、フランスの医師ルネ・ラネンネック(1781~1826)はノートを丸めて女性の患者の胸にあて、聴診法を試みたところ心音を明瞭に聴くことができ驚き、そこでボール紙を丸めて糸で縛り、ニカワを塗って固めて作りそれをステトスコープ(Stetoscope:聴胸器)と命名しました。


1819年に「間接聴診法」という新たな専門用語を生み出し聴診器による聴診法が確立され、その結果検尿瓶から聴診器が内科医のシンボルとなります。


切手は1982年オーストリア発行の「第5回ヨーロッパ泌尿器学会会議」で、検尿瓶に取った尿をかざして観察するペルシアの名医アビケンナ(980~1037)の姿が描かれています。




切手は2005年ポーランド発行の「ポーランド医師会創立200年記念切手」で、白衣のポレケットに収められた聴診器が描かれています。




よもやま話-1.アテナとオリーブ-

ギリシャ神話において、女神アテナとオリーブは密接な関係があります。 アテナは、知恵、芸術、技術、戦争などを司る女神で彼女ゼウスの頭から生まれたとも、父親であるゼウスがティターン族の智慧の女神メティスを飲み込んだ際に、メティスの頭から生まれたともいわれています。 オリーブは、地中海...